相続税対策として、不動産投資を行う予定のある人に向け、コロナ渦における注意点等をまとめました。
そもそも、税理士等が勧める不動産建築(又は投資物件の購入)は、実勢価格や市場変化を考慮せずに提案されたものです。
不動産のプロでも、長期的な収支計画を見通すのは困難な時代ですから、安易に不動産購入を決めるべきではありません。
コロナ渦における、不動産購入の判断基準等について、プロ目線で解説していきたいと思います。
不動産投資の目的
相続対策での不動産購入では、その目的が『節税』であることが多いです。
しかし、節税はできても、将来に借金が残るようでは意味がありませんよね?
ですから、明確に『何年後に手放すか』を決めることが重要です。
また、これを決めるには『手放す時、いくらで売れるのか』を知る必要があります。
正確な金額は誰にも分かりませんが、不動産の専門家であれば、築年数に応じた適正価格や、相場を教えてくれます。
不動産(建物)は、いつかは解体しなければならなくなりますから、借金が返済できるのであれば「手放す」という決断も必要になるのです。
どんな物件を買う(建てる)べきか
事業収支的に問題がなければ、不動産投資をすることもNOとは言えません。
実際、不動産投資をした方が良いケースもあります。
そんな場合、「どんな物件を買う(又は建てる)」べきかという事にも高い意識を持っていただきたいと思います。
不動産は気軽にキャンセルできるようなものではありませんし、所有権を移転させるだけで費用がかかるのですから、慎重に決断するのは当然ですよね。
相続対策においては、大きく分けて2種類の考え方があると思います。
1.敷地権割合の高い建物
相続対策として購入する不動産は、敷地権割合の高い建物が向いています。
敷地権割合とは、小さな土地に対して高い建物が建っているような状況をイメージすると良いです。
具体的に言えば、都会の駅前に密集するテナントビル等のことです。
区分所有の建物(マンションやビル等)の場合、建物の共有部分を除いた面積を分け合う形になりますので、敷地に対する建物の所有権割合が少なくなるのです。
相続時の土地評価においては、借地権が評価を下げてくれます。
また、土地価格に対して「何割分の建物を持っているか」という視点で評価計算を行う際、敷地権が相続対策として有効に機能するのです。
とても簡単な言い方をすれば、テナント物件はとても評価が低くなる不動産ということです。
仮に、1億円で買っても、その評価額が2千万円なら、8千万円分の資産に対する相続税が節税できることになるわけです。
コロナウイルスが流行する前は、このような投資先が最もリスクの無い方法とされていました。
今後、都心でもテナントの空きが目立つようになれば、このスキームが通用しなくなるケースが出てくることになります。
2.売却しやすいサイズ
収益物件の建築をして土地評価を下げ、建物建築のための借り入れをするという相続対策もよくある手法です。
有効な対策ではありますが、これについても失敗となるケースは珍しくありませんので、充分に注意が必要です。
建築会社には、「なんとか建ててもらいたい」という気持ちが働きます。
ですから、収益物件のランニングコストへの目算が甘い傾向があります。
オーナーは、現実的な計画プランでの収支を把握する必要がありますので、建築業ではない不動産の専門家の意見も聞くべきです。
また、建物建築の際には、建物を「将来、売れやすい価格帯になるサイズ」にしておくことも重要です。
単純な話ですが、5億円の物件を買える人よりも、1億円の物件を買える人の数の方が多いという事です。
買い手が少ない売却価格では、流動性が著しく低下しますので、出口戦略を持って計画しましょう。
場合によっては、1棟ではなく、2棟に分けて建築するのが正解という場合もあるはずです。
コロナ渦で市況が変わる?
誰もが感じている事とは思いますが、2020年以降は、以前よりも不動産投資へのリスクが高くなっています。
リモート環境の整備が進み、都心から郊外へと引越しをする人も増えたと聞きます。
これまで常識化していた不動産投資による相続税対策は、既に「誤った手法」に変化している可能性もあります。
実際、相続対策において「現金化を優先する」という選択をする人が増加しているように感じます。
不動産投資の出口(終わり)は、売却又は解体です。
これらを行うタイミングや、方法を持つことが出口戦略であり、コロナ渦での新常識だと思います。
購入時に出口までを見据えた計画を持っていても、何が起こるか分からないくらいなのですから、投資リスクはよく考えなければなりません。
コロナ渦での収益性
コロナ渦では、収益物件に求められる収益性にも変化がでてくるでしょう。
例えば、20年間で「いくら収益をあげる必要があるか」という視点で計画をしていく時でも、今までよりも少し空室率を考慮するといった必要が出てくるはずです。
また、20年間後に売却するとして、「思ったような価格で売れなかった」というケースも想定しなければ、出口戦略としてはお粗末です。
結局のところ、出口戦略を考えるのが難しいのは、「将来、いくらで売れるのかが分からない」という事が原因です。
これを解決してくれる相談先があれば、本当に頼りになる相手ですし、かなり正確な計画が立てられるという事でもあります。
確実な買取価格(業者買取)と、市場価格(一般向けの時価)は異なりますので、やはり売却に詳しいプロの意見が欠かせないという結論になります。
まとめ
不動産投資は、収益性よりも出口戦略が大切です。
出口で利益が出れば、損をすることもないからです。
相続対策のための投資が、損をするための出費にならないよう、信頼できる相談先を探してください。
ADVICEYOUでは、普通の不動産業者ではなく、上場企業での仕入経験を持つ専門家との提携を行っています。
独自の査定ノウハウで、一般的な不動産業者との差別化を実現していますので、お気軽にご相談ください。