ドローンが活躍する場面は、日々増えている印象があります。
中国では、既にデリバリー配達や、病院検査の輸送等にドローン輸送の実用化が完了しています。
近い将来、日本でも「空(ドローン)の道」が開かれ、荷物を運ぶドローンが上空を飛び交う可能性が高いです。
日本との技術格差も広がる一方で、「日本製」のドローンのコスト・性能は、総合力でまだまだ中国に劣るのが実態だそうです。
しかし、日本でもにわかにドローンを利用したビジネスが広がって来ており、コロナウイルスがこの動きを後押ししている側面もあります。
このドローン運用が、相続税対策に意外な影響を与えることになるかもしれません。
ドローン利用の法律事情
日本では、上空300mまでは、土地所有者の権利とされています。
この為、土地の所有者の承諾を得なければ、ドローンを飛ばすことができません。
また、航空法で、ドローンは地上から500mまでしか飛行ができないことになっています。丁度、東京タワーの展望台くらいの高度です。
このような法律事情から、日本でドローン運搬を実現するには、権利承諾に大きな手間がかかります。
空中権のストックビジネスが誕生
既に、土地の地権者と空中権の承諾交渉を行う会社は登場しています。
ドローン運用者に対して、空を利用する権利を販売するというビジネスに発展していくという事です。
今後、空中権に土地売買と似た価値が出てくれば、大きなビジネスチャンスとなります。
土地としての利用価値が低くても、空中権として重要なルートの一部であるというケースも出てくるでしょう。
日本では、市街地でのドローン飛行が禁止されていますが、ドローンの安全性が高まり、その利便性が勝ってくれば、法改正によって使用が可能になる日が来るはずです。
主に幹線道路や河川の上を通ることになると思いますが、山林や空き屋等の上空を通すルートは検討されやすいのではないかと推察しています。
中国の法律事情
日本と中国の最大の違いは、空中権を国が管理している事です。
土地の権利と、空中の使用権を分離しているので、許可がとりやすいという違いがあります。
この違いが、ドローン利用の推進に大きな技術格差を生み出しました。
既に、中国では、消防活動ができるドローンや、人を乗せられるドローンタクシー等も実用化できるレベルまできています。
ドローンで運ばれてくるデリバリースポットも、数年の運用実績があります。
中国では、薬や血液を運ぶドローンも実用化され、病院等で使われています。
ドローン警察という組織もあり、ビルの上から警官がドローンでパトロールを行っています。
このように、日本には1つも存在しないサービスが、数年も運用され続けているのです。
ですから、ドローンに関しては、数十年遅れている状態と言っても良い状況だと思います。
山林や農地に通行料が入る?
近い将来、ドローンが土地の上を通過するための承諾を巡って、多くの企業が動き出すのではないかと思います。
楽天グループのような企業が、既存会員に空中権の承諾をとる代わりにポイントを付与するといったビジネスモデルも現実的に有り得る話です。
空中権の料金体系は、ドーローンが運行する回数や、飛行時間によって通行料をとれるようになっていくようです。
市街地での運用が認められるようになれば、必然的に単価が高くなります。
墜落時などの保険商品の拡大も進むはずです。
損害補償基盤が構築され、ドローンの故障率に一定の安全性が確保されれば、コロナ対策としても活躍の場(配送業務等)は広がります。
そう考えると、川沿いや道路上空等を無数のドローンが飛び交う未来は近いのかもしれません。
価値の無かった山林や農地にも、思わぬ権利が発生する可能性があるということです。
相続対策への影響
空中権が普通に取引されるような時代になれば、土地の評価方法についても変わってきます。
借地権割合と同様に、空中権割合といった概念も生まれてくるかもしれません。
もしも、空中権で年間の固定資産税が捻出できるケースなどが出てくれば、相続税対策の考え方にも変化が出てきます。
また、空中権によって価値が上がってしまい、今まで以上に相続税対策が必要になってしまうケースも出てくるかもしれません。
ADVICE YOUでは、東京・神奈川の山林・農地の相談と合わせ、適切な相続税対策を提供いたします。
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まとめ
ドローンは、自動車やパソコン等よりも開発のスピードが早いです。
実際、「あと10年はかかるだろう」と思うような変化が、たった数年で実現されています。(人が乗れるドローン等)
本当に、映画やアニメの世界のような、近未来都市の構想が現実的になってきているのです。
「空飛ぶ車」も、ドローンと車のハイブリット型マシンとして実現されていくでしょう。
空中権の価値上昇は、相続対策にも必然的に影響してくる話です。
空路として有望な土地を持つ地権者様は、今後も注視すべき分野だと思います。