贈与の意思は、本人だけが決められる事柄ですので、贈与契約書を作成するときに、本人の自書によるのが原則です。
しかし、ご高齢で筆圧が弱くなってしまったとか、怪我や病気などで署名作業が困難なこともあるはずです。
事情は様々ですが、贈与者が意思表示できる状態にあっても、代筆が必要になる場合があるわけです。
代筆時の注意点
贈与契約書は、本人の意思にもとづいて作成されたことが証明できる必要があります。
何らかの理由で文字が書けない状態にあり、代筆で作成する場合、通常よりも慎重な手続きで作成する必要があるでしょう。
贈与者と受贈者がお互いの意思で契約したことを証明する方法として、贈与契約書に当事者の実印を使用し、文書として真正に成立したと推定できる状態にしましょう。
また、贈与契約書に印鑑証明書を添付することで、形式上は真正に成立したことを証明できます。
第三者の立会い
実印と印鑑証明は、同居親族などであれば持ち出すことができてしまう可能性もあります。
この為、第三者に贈与契約書作成の場面に立ち会ってもらい、贈与契約書をそれぞれの意思で作成したことを確認した証として機能させると良いでしょう。
利害関係のない第三者が、立会人としての署名と押印を行うことで、より一層、契約書の信憑性が増すと思います。
公証役場の確定日付
贈与契約書を公証役場に持参して手数料を納めれば、確定日付をもらうことができます。
この手続きによって、贈与契約書が確定日付に存在したことを証明できます。
1通あたり700円で行える手続であるため、積極的に利用を検討しましょう。
受贈者の代筆
贈与を受ける者が未成年の場合なども、契約書への署名ができないケースが想定できます。このような場合にも、代理人が贈与契約書を代筆することがあります。
但し、未成年者の場合、代筆できる人が法定代理人である親権者に限られるため注意が必要です。
まとめ
代理行為については、法的な有効性を確保するために様々な配慮が必要になります。
今回ご紹介したような対策を講じても、代筆による贈与契約で絶対にトラブルが発生しないとは言い切れません。
できるだけ第三者に対抗しやすい手続きをしておくことが大切ですので、必ず専門家と一緒に実行してください。