外貨預金や外貨保険の相続評価はどう計算するの?

ドル建ての保険資産や、米ドル預金等を保有している方が亡くなった場合、相続評価をどのように行うのかを知っておきましょう。

このような知識を持っているだけで、将来に受け取る相続財産が大きく変わってくる可能性があります。

資産形成や相続対策上においても、判断材料となるお話です。

外貨の評価ルール

相続が発生(被相続人が死亡)した場合、その日のTTBが適用されます。

TTB(テレグラフィック・トランスファー・バイイングレート)とは、外貨から日本円に換金する時のレートです。(対顧客電信買相場)

要するに、金融機関が、顧客から外貨を買い取る時のレートです。

 

原則として、被相続人が死亡した日のTTBを使うルールになっているのですが、当日が日曜日や祝日等の場合もあります。

このように、為替市場が動いていない日に死亡した場合は、相続開始日(死亡日)前で最も近い日のTTBで計算します。

 

TTBはどうやって調べる?

TTBの外貨レートは毎日変動します。

この記録は、金融機関等で管理しています。

 

預金をしている金融機関や、保険会社等に対して残高証明を発行してもらう際、TTBレートの表示を依頼してみてください。

このような対応ができないと言われた場合には、口頭で聞いておきましょう。

個人での問い合わせが難しい状況の方は、税理士やコンサル会社等の担当者に調査を依頼すると良いと思います。

 

外貨資産の注意点

外貨資産の評価は、たった1日の違いで大きく評価が変わってしまう事があります。

相続税を計算する上では、為替レートが悪い方が相続税が小さくなります。

つまり、円高状況のほうが、相続税が安くなるという事です。

 

一方、円安の状況ですと、思った以上の額になってしまい、相続税がかなり高くなる場合があるのです。

日本の相続税率は、総資産の額に応じて高くなっていく仕組みなので、外貨評価によってパーセンテージが変わってしまうこともあるでしょう。

生前にできる対策を知っておきましょう

2022年5月現在、為替レートは1ドルが128円前後で推移しています。

このように、長い目で見ても円安状態であると思える時には、一度資産を円に換えておくことをお勧めします。

不景気等によって再びドルが急落するといった事が起こったら、またドルを買い戻せば良いからです。

 

円に換えた際には、一時的に資産が大きくなりますが、これを相続対策に有効な保険商品にしておく事も有効です。

また、不動産等のように評価が大きく下がる資産に変えておくことも検討できるかもしれません。

 

私が顧客にアドバイスする際は、不動産投資は積極的にはお勧めせず、まずは安全かつ確実にできる対策を優先します。

相続人が換金に苦労しないように、ある程度のご年齢になったら、シンプルな資産状況にしておくことも大切だと思います。

 

痴呆等になると、相続人はとても大変な思いをすることになります。

証券会社を通じて保有している株式等がある場合、売りたい時に株が売れない事態になり兼ねません。

相続人は、かなりの手間を覚悟する必要がありますので、できるだけ生前に整理をする意識を共有しておくと良いでしょう。

 

相続した後はどうするか

外貨を相続した後でも、引き続き換金のタイミングには注意が必要です。

相続した時よりも良いレートで換金しないと、余計な相続税を払ったことになってしまいますよね。

 

この為、最低でも相続時のTTBと同じくらいのレートで換金したいでしょう。

しかし、実際には銀行手数料等もあるので、やや得をした状態で換金したいところです。

 

相続後の世界景気等を見て、しばらく保有していれば円安に進みそうな見込があるなら、含み益が大きくなるまで待つという手もあります。

このような対策をとり易くするためにも、「被相続人が円安の資産を持たないようにする意識」が大切なのです。

 

まとめ

相続財産に外貨建ての資産がある場合は、ご家族で声をかけあって換金時期や運用方針等を話し合っておきましょう。

将来、相続人が受け取った後に円安に転じそうな資産であれば、そのままでも良いと思います。

一方、相対的に円安であると思ったら、できるだけ円に換え、資産の組み換えを行う事だと思います。

リーマンショックのような相場変動は、いつでも起こり得ますから、この記事でご紹介したような対策によって、大きなリスクを回避することに繋がるのです。

資産が大きな人である程、ほんの僅かなレートの違いで税額が増えますから、是非とも実行してみてください。

換金後の有効対策や、相続対策プランでお悩みの際は、ADVICE YOUにお問合せください。

 

関連記事

  1. 駐車場の相続評価は賃貸と違うの?

  2. 仲介手数料の経費計上に使う勘定科目とは?

  3. 不動産取得税と譲渡所得税の税率

  4. 相続財産に上場株式があるときの評価方法

  5. 相続贈与(暦年贈与)の税制改正

  6. 固定資産税の知識

  7. 相続税を減らす方法をベスト10で解説

カテゴリー

PAGE TOP