2021年と2022年は、暦年贈与ができるラストチャンスの年になるかもしれません。
税改正により、暦年贈与の規定が変更される予定があるからです。
この為、多くの人達ができるだけ(110万円を超えて)贈与をしておこうと考えているわけです。
しかし、「贈与税を払ってまで暦年贈与を行うべきなのか?」と悩む人もいるのではないかと思いますので、どちらが得なのか判断する方法をご紹介しておきたいと思います。
相続税と贈与税を比較する
暦年贈与は、110万円までは非課税ですので、贈与税はかかりません。
しかし、110万を超え、310万円までの範囲で贈与を行うと、贈与税が10%かかり、申告をしなければならない手間も生じます。
(200万円までは贈与税が10%なので、非課税枠の110万円と足すと、310万円までは10%になる)
一方、相続税は、総資産から基礎控除等を引いた後の金額によって税率が変わります。
この金額が1000万円以下なら、相続税も10%なので、支払う税額は先程の例と同じです。
今の時点で10%以上の相続税が発生することが確実な人は、贈与税10%を払って先に渡す方が良いわけです。
5千万円以上の資産が課税対象である場合、相続税率は20%以上となり、最大で55%まで設定されていますから、資産が多い人ほど効果が高い対策です。
このように、相続税と贈与税のどちらが得かという視点は、1つの判断基準となります。
相続税が確実に20%を超えると分かっているご家庭の場合、1年に310万円の贈与を行っておくのが得策という事です。
但し、この対策には、注意点もありますので、最後まで読んでください。
繰り戻しに注意
ちょっと難しい話に感じるかもしれませんが、贈与したお金は、3年間は相続税を免れることができないケースがあります。
配偶者や子供に対して行った贈与金については、3年間は相続税が消えないと考えればいいのです。
財産をあげる人(被相続人)が亡くなる直近3年間に贈与した財産は、相続税計算時の財産の中に入れるルールになっています。
但し、孫に対して贈与した場合は例外とされていて、直近3年の繰り戻しが発生しません。
要するに、孫の場合は、もらった時点で相続税がかからなくなるという事です。
配偶者や子供が贈与を受けた場合、もらった資産を返す必要はありませんから、相続前にもらえるメリットはあります。
しかし、相続税は貰った分に対してもかけられてしまう可能性があるので、この点をよく理解して判断することになります。
時間をお金で買う発想
贈与で10%の税金を払っても、「先に受け取れる効果」をメリットとして考えることもできます。
これも、1つの判断基準と言えます。
相続開始前に支払った贈与税については、相続税から差し引くことができますので、先に相続税の一部を払ったと考えれば良いわけです。
時間をお金で買うと考えれば、先に10%を払う意味も出てきます。
ただ、相続税の対象となる資産が1千万円以下になる可能性がある人は、110万円以上の贈与をする判断が難しいのも確かです。
このようなケースでは、専門家に確認して判断されると良いと思います。
ADVICE YOUでは、1億円以下の資産であれば、無料でこのような緻密な判断を行っています。
お気軽にご相談ください。
まとめ
暦年贈与を孫に対して行う場合、2021年と2022年の2回分の贈与をしておくと良いです。
贈与と同時に相続財産が減る効果があるので、確実に相続税が節税できます。
2023年以降は、法改正によって孫であっても繰り戻しをしなければならなくなる可能性があります。
更に、現在は3年とされている繰り戻し期間が、10年程度まで延長され、実質的に相続税対策とならなくなるかもしれないのです。
この為、暦年贈与ができるうちに、贈与税10%の範囲で現金資産を渡しておくという対策をとる人が急増しているわけです。
駆け込み贈与とも言える贈与ラッシュの時期ということですね。
暦年贈与を行う際には、贈与契約書の作成や通帳の管理方法等、手続き上で注意しなければならない事もあります。
一度、無料で対応してくれる専門家等に相談しておくと良いでしょう。