そもそも、タンス預金は税務署に見つかるものなのでしょうか。
また、見つかった場合、どんなペナルティがあるのか知っていますか?
タンス預金については、正しい認識を持った上で管理をしていくことが求められます。
リスクのある事は、「やらない方がいい」と言ってしまえば良いのかもしれません。
しかし、そんな当たり前なアドバイスでは納得できない人もいますよね。
メリットとデメリットを把握した上で、そのリスクを負う選択をするのが理想でしょう。
そこで、タンス預金について、判断基準となる情報をまとめておきたいと思います。
タンス預金の危険性
タンス預金は、それ自体が禁止されているわけではありません。
税金(所得税等)を払った後、残ったお金を銀行に預けなければならないという法律があるわけではありませんよね?
そんな法律があったら、自宅にお金を置いておくことができなくなってしまいますから、基本的には問題のない行為なのです。
しかし、相続の際においては、タンス預金は思わぬリスクとなる可能性があります。
たとえ、やましい事がない場合でも、税務署側には怪しい目で見られてしまうからです。
親のお金は、労働によって得られたものではないので、より目を光らせています。
つまり、隠れて贈与したお金があるのではないかと疑ってかかるわけですね。
ポイントとしては、将来の相続の際に相続税が発生するかどうかを考える事です。
相続税が発生するという事は、申告をするという事になりますから、税務署の詳しい調査が入る可能性が高まります。
この際、タンス預金の出所について執拗な質問をされるとか、明らかに疑いの目で見られるといった事が起こるかもしれません。
このような不快な思いをしたくないという人は、タンス預金はしない方が賢明です。
タンス預金のメリットとは?
タンス預金のメリットを考えると、それほど大きな理由は見当たりません。
銀行が信用できない人の場合、自宅金庫で保管する安心感が得られるかもしれません。
また、銀行に預けに行く手間や、引き出しの際に用途を聞かれることもないといった所がメリットになるのかもしれませんね。
税理士の口からは言えない(書けない)メリットを申しあげるとすれば、「見つからなければ問題ない」というところでしょう。
実際、相続税が基礎控除内に収まってしまうようなご家庭の場合、個人がタンス預金について調査をされるような事はないと思います。
タンス預金はどんな時に見つかる?
税務調査官が相続の申告を調査する際には、銀行の情報を閲覧して調査することができます。
お金の流れや、出所が分からない買い物等があった時には、「このお金はどこから捻出したものですか?」という質問をされることになるでしょう。
また、よくあるのは、申告をせずにタンス預金を贈与(110万円の非課税贈与)しているケースです。
表に出て来ないお金を、そのまま子や孫に贈与し、貰った側も表に出さずに使っているような場合です。
このような動きは、第三者から見れば非常に怪しい行動ですよね。
贈与をする場合には、その形跡を公に証明できる方法(銀行振込等)によって行うべきです。
タンス預金を表に出さずに贈与した場合、違法性がないことを証明する責任は本人側にあります。
ですから、税務署が納得できるような証拠(潔白を証明する書類等)がなければ対抗できないということです。
みなし贈与として扱われると、重い課税ペナルティーが発生しますので、タンス預金をする時にはこのようなリスクをよく理解しておかなければならないのです。
納税・申告の意外なメリット
贈与の申告や、相続の申告を行っている場合、身の潔白を証明する行為が完了したことになります。
決められたルールに従って「私は、これだけの財産をもらいました」と申告を行ったのですから、その内容に文句があるのなら税務署側が証明をしなければなりません。
申告を行っていない行為については、本人側が身の潔白を証明する必要があります。
申告をした場合には、税務署側が不正を証明しなければなりません。
この差は、想像以上に大きなものです。
不正を正すにしても、税務署にも人件費がかかりますし、行動を起こすからには成果も出さなければなりません。
ですから、手を出す案件の選別をせざるを得なくなります。
あまり大きな声では言えませんが、小さな不正があったとしても、それを税務署がわざわざ証明しにくる可能性は低いでしょう。
全く無いとは言えませんが、ある程度、税金がとれる可能性が高い案件を優先せざるを得ないわけです。
世の中には、たくさんのお金持ちがいますから、「バレたら納税すればいい」という賭けをする人達もいます。
税務調査官は、まずはこのような人達から優先して探し出し、「やっぱり見つかったか」と諦めさせるのがメイン業務と言って良いのではないでしょうか。
タンス預金のデメリット
タンス預金のデメリットは、自分でそのお金が不正な貯蓄ではないことを証明しなくてはいけないリスクがあることです。
タンス預金を使った時、あらぬ疑いをかけられることになり兼ねませんから、気軽に使うことができないのもデメリットの1つです。
また、銀行に預ける場合に比べ、セキュリティの面で劣るというデメリットもあるでしょう。
本当にタンス預金から暦年贈与をしていただけなのに、定期贈与(まとめて贈与した)とみなされる可能性もありますので、きちんと振込等の履歴を残しましょう。
まとめ
タンス預金は、相続の申告後の調査で発覚する可能性があります。
タンス預金を表に出さずに受け取ると、贈与税を課される可能性があると考えましょう。
贈与を受けた側は、このリスクをしっかり解消する必要があります。
人から貰ったお金は、一度自分の口座に入れる(又は振込で受け取る)という対策をとることを意識しましょう。
そして、きちんと申告をすることです。
このような対策をしておけば、税務署から調査が入ったとしても、確実に無駄足にさせることができるでしょう。
相続で基礎控除以下に収まるような場合でも、相続税を削減するために怪しい動きをしている人は、目を付けられる可能性があります。
納税制度は、知らなかったでは済まされませんので、専門家と一緒にしっかりと対策をしておきましょう。