遺言は、資産家や地主等の他、事業成功者等が作成するイメージがありませんか?
実は、相続トラブルには、資産がそれほど多くないケースでの争いの方が多いという実態があります。
つまり、皆さんや、皆さんのご両親にそれほどの資産が無いとしても、遺言対策によってトラブルを防止しておく必要性は高いということなのです。
自筆証書遺言が身近で便利に
2022年4月の民法改正で、自筆証書での遺言手続きが利用しやすくなったのをご存知でしょうか。
遺言に対しては、「遺言なんて大金持ちがすること」とか、「遺言なんて不吉」等というイメージがあるかもしれません。
しかし、先の税制改正によって相続税の基礎控除が切り下げられたことにより、以前よりも相続税対策が必要になるケースは増えています。
これは、遺言対策を必要とする人が増えるという事でもあるのです。
相続は今すぐ発生するものではないだけに、一般的には意識を高く持つ人は少ないです。
ですから、自分に相続対策が必要な事に全く気付いていない人も多いです。
これからの時代における遺言の意味について、この記事でしっかり理解しておきましょう!
相続税はあなたにも課税される?
平成25年の法改正(施行は平成27年)で、相続税の基礎控除が引き下げられ、税率についても見直しが行われました。
平成6年以前の時代では、基礎控除だけで5千万円も設定されていました。
郊外の一般家庭等では「将来に相続税がかかる」という認識を持つ人は少なく、遺言についても考えたことが無い人が多かったでしょう。
しかし、改正後の基礎控除は、3千万円になっています。
これに「600万円×法定相続人の人数」を加えることができますが、少子化傾向の為、相続人全体での基礎控除の合計が5千万円以下となってしまうケースも多いです。
基礎控除の他、配偶者限定の控除や、生命保険に対する控除等もありますが、以前に比べて基礎控除額を超えてしまうケースは大幅に増加しているのです。
都内に一戸建てを持っているだけで、その土地の価値には数千万円の評価がつきます。
この他に、預貯金、株式、保険資産等があれば、あっという間に相続税課税対象額に到達してしまうといった人も出てくるでしょう。
国税庁の統計(課税割合)によれば、全国平均では全体の8%程度が相続税の課税対象となっています。
8%と言われると、それほど多くは感じないかもしれませんが、東京・大阪・福岡等の大都市の場合、この8%の中に入る可能性が高いということも事実です。
地価が高い場所では、数十坪の土地を持っているだけで基礎控除を無力化してしまうことになります。
ADVICEYOUでは、提携税理士の協力を得て、無料で相続税の試算を承ります。(試算に必要な情報提供をしていただく必要有)
東京都での相続税対策は、ADVICE YOUまでお気軽にご相談ください。
相続トラブルは避けられる
相続のトラブルは、相続開始の前から発生することもありますが、多くの場合、大きなトラブルに発展するのは相続発生後です。
遺言で相続が行われた場合や、法定相続による遺産分割協議を行う際、「自分だけ少ないのは納得できない」等といったトラブルに発展しやすいからです。
また、現金で遺産を分けるべきか、不動産で分けるべきかの判断においても、相続人同士の間で激しい争いとなることは珍しくありません。
このようなトラブルを無くすために『遺言』という制度があるわけですが、単純に遺言を作成するだけでは足りません。
重要なのは、いかに「トラブルが起きないように作成するか」という視点で遺言内容を構成することです。
特に、遺留分を主張してくる相続人がいる可能性が高い場合には、遺言での財産指定の表現等に細心の注意がです。
法律家の使い方に注意!
少しでも争いが起こらない内容を目指すことが重要だと考える人は、法律家に遺言作成を依頼します。
しかし、過去に法律家が作成した遺言書が、全くトラブル回避の防衛策とならなかったというケースはたくさんあります。
何故、弁護士や司法書士の作成した遺言が役に立たないのか、不思議に思いませんか?
この理由は、その法律家が、法的に「有効な遺言書」を作成しただけだからです。
一般的な法律家は、教科書通りの権利配分をすることを「トラブル防止」と考えるのです。
法的には有効な書式ですし、内容的にも遺言として問題ないのですが、親族間の関係性や財産の状況等を考慮し、「トラブルを防ぐ知恵」を入れていないという事です。
むしろ、普通の法律家では、このような知恵は入れられないと言った方がいいかもしれません。
税理士の視点や、コンサルティングの視点を持っていない法律家に遺言書を依頼しても、このような問題が生じるのです。
ADVICE YOUの相続対策サポートなら、法律・税務・不動産のプロの知恵を一体化した形で遺言書を作成できる為、このような問題リスクを防ぐことができます。
遺言の種類
遺言には、大きく分けて2種類あります。
自分で書いた遺言を法務局等に預けるタイプの『自筆証書遺言』と、公正証書として保管してもらう『公正証書遺言』です。
それぞれの特徴について、ざっくりと掴んでおきましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、以前から存在していた制度ですが、自宅で管理されていることが多く、その記載内容に不備(法的な欠陥)がある場合も多いのが実情でした。
改ざん等の心配も大きい保管方法ですので、近年の法改正によってこれが改善された格好です。
自筆証書遺言の保管を法務局で行えるようにする法律が施行され、遺言の紛失や隠匿などを防止し、遺言の存在を把握できるようになったのです。
自分で作成し、法務局に足を運ばなくてはいけませんが、費用がかなり少額で済むというメリットがあります。
法律家のアドバイスに従って遺言を作成することが望ましいですが、WEB上等で注意点を学んで作成しても有効な遺言は十分に用意することができます。
将来に向け、まだまだ遺言の内容が変化する可能性がある人等は、ひとまず自筆証書遺言を保管しておくという使い方もあると思います。
「何もしないというのは不安」という人に向いている方法かもしれません。
自筆証書遺言の費用は安い!
法務局への保管業務は、始まってまだ間もないこともあり、あまり積極的に勧める法律家は少ないように思います。
自筆証書遺言の良い所は、費用が安く、現時点での都合で気軽に作成できることです。
長い人生の中では、遺言の内容を変える必要性が出てくることもありますし、気持ちの変化もあるものですよね。
公正証書遺言は、最も公平性の高い遺言方法ではあるものの、その費用が40万円超となるのが通常です。「向こう数年の仮対策」といった意味合いで遺言を作成するには、ちょっと高く感じる金額ですよね。
そこで、65歳以下の年齢層の方々や、まだ方向性が変わる可能性がある状況のご家庭の場合には、とりあえず自筆証書遺言で対策をしておくことをお勧めしています。
ADVICE YOUでは、いち早くこの制度をクライアントにお勧めしてきました。実際に、保管までのサポートを行ったクライアントからも、「手続きが簡単で良い」と、大変好評です。
申請手続き
法務局に予約をとり、申請書一式と自筆証書遺言を持参します。(本人が行く必要があります)
不備などがないように、専門家のチェックを受け、できれば一緒に行ってもらうと良いでしょう。
ADVICE YOUでは、総合的な視点で遺言内容を考案し、司法書士によるチェックを行います。
こうして作成した遺言の見本をお渡ししますので、クライアントは見本の通りに「自筆で書くだけ」です。
勿論、法務局への申請書類の作成も行いますし、法務局へも同行します。
法務局では、3900円の保管料がかかります。(印紙で納めます)
自筆証書遺言なら、特別な事情が無い限り、保管料を含め、トータルで5万円以下の費用で作成ができます。
公正証書遺言
公正証書遺言は、本人が動くことができない場合に大きな役割を果たします。
自筆証書遺言との最大の違いは、公証役場の公証人が関与することです。
確実性が高い内容で、改ざん等の心配もないので、最も確実な遺言方式と言えます。
自筆証書遺言よりも費用が高額になるので、財産総額やトラブルの可能性等によって決める事だと思います。
まとめ
税法の改正で今まで以上に遺言書を準備する必要性のある人が増えていますが、遺言を書くだけでは対策を終えたとは言えません。
無駄な相続税を払わなくても済むように節税プランを考案し、計画的にこれを実行していく中で必要になるのが遺言という事です。
ご家庭の事情や、財産の額、相続人の数等によって、相続税対策は大きく変わります。
この為、まずはご自身に合った節税のベストプランを持つことが大切です。
しっかりとした節税対策を持った上で、法律家のアドバイスが反映された遺言書を準備していきましょう!