相続税対策を考えていく上では、『税金』について理解を深めることが大切です。
専門家に任せるのも一考ではありますが、ある程度の理解をした上で任せるのが理想です。
一定の知識を持っておくことで、専門家からのアドバイス等についてより理解が深まりますし、自分で判断ができる事も増えるからです。
今回は、不動産等と関係の深い固定資産税の減免についてご紹介します。
固定資産税の概要
ご存知の通り、固定資産税とは、土地や家屋等のような固定資産の所有に対して課される税金です。
取得の翌年1月1日時点から課税対象となり、1月1日時点で所有している者に毎年課税され続ける税金です。
また、固定資産税の一種として、償却資産税という税もあります。
総客資産税の対象は、償却資産(減価償却できる会社の資産)で、損金又は経費計上できるものです。
具体的には、看板、機械設備、パソコン、特殊な乗り物(ヘリコプター・船舶等)等のことを言います。
因みに、自動車税(軽自動車含む)は、毎年個別に課税されてくるものなので、償却資産税の対象から外されています。
また、無形固定資産(特許など)や繰延資産についても申告の対象から外されています。
ちょっと話がそれましたが、固定資産税が課税されるものをまとめると、以下の3つになります。
- 土地
- 家屋
- 償却資産
固定資産税の納付
固定資産税は、市町村税ですので、該当する固定資産が所在する市町村から課税されます。
毎年、1月1日における所有者(固定資産課税台帳に登録されている所有者)が納税義務者となります。
この為、売却等によって年内に所有者が変わっても、当年度分の固定資産税は1月1日現在での所有者(売主)に課税されます。
市町村は、固定資産の所有者に対して、遅くとも納期限の10日前までに固定資産税の納税通知書を交付する必要があります。
納税者は、これに対して普通徴収による納付を行うことになります。
納付期日は、4月、7月、12月、2月中において各市町村の条例で定めます。
市町村は、固定資産の状況、固定資産税の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければなりません。
課税標準は、3年に一度の間隔で評価替えが行われ、この年を基準年度と呼びます。
基準年度に決められた評価額は、その後の3年間は据え置かれますが、地目の変換や家屋の改築等によって資産価値が変動する場合は、3年が経過していなくても見直されることがあります。
固定資産課税台帳はいつでも閲覧することができ、市町村にその登録事項の証明書の交付を求めることもできます。
固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合は、公示日から納税通知書の交付を受けた日後60日までの間に、固定資産評価審査委員会に審査請求ができます。
固定資産税の免除等
固定資産税は、課税標準に税率を掛けて算出します。
つまり、「課税標準×1.4%=税額」が基本となります。
但し、課税標準が以下の金額より少額の場合には、固定資産税が免除されます。
- 土地の場合は、30万円未満
- 家屋の場合は、20万円未満
- 償却資産の場合は、150万円未満
固定資産税の減免の判断については、各市区町村毎によって異なりますので、詳細については役場等に確認しましょう。
住宅用地の特例
住宅用地として保有している固定資産については、課税標準に特例措置がありますので、以下にまとめておきます。
- 200㎡以下の住宅用地は、課税標準が6分の1になります。
- 住宅用地で200㎡を超える部分については、課税標準が3分の1になります。
200㎡を超える部分については、個人の資産力や贅沢による部分なので、割引率が落ちると考えれば良いと思います。
新築住宅への特例
新築住宅を取得し易くする目的で、こちらも特例措置があります。
新築住宅の建物の場合、建築からの3年間は、床面積120㎡までの税額を2分の1に減額してもらえます。
これは、課税標準の割引ではなく、税額自体を半分にするものです。
但し、この特例を受けるには、床面積の半分以上が居住用であり、50㎡以上280㎡以下の建物である必要があります。
中高層耐火住宅については、新築から5年間は床面積120㎡までの税額を2分の1に減額してもらえます。
バリアフリー工事の特例
65歳以上の者、要介護または要支援の認定者、障害者の住宅について、バリアフリー改修工事が対象の特例ですが、この特例は、賃貸住宅の場合には適用されません。
補助金等を除いた改修費用が50万円を超え、改修後の住宅床面積が50㎡以上である場合に適用されます。
適用条件を満たした場合、翌年度分の固定資産税額の100㎡相当分までが3分の1に減額されます。
固定資産税の減免
固定資産税の減免とは、個別の事情によって固定資産税の税額を調整するものです。
固定資産税は、市町村が課税するものですので、各公共団体の条例等によって微妙に減免の要件が異なります。
主な減免のケースについては、以下のようなものがあります。
- セットバックした道路部分の課税免除等(公共使用物になった場合)
- 生活保護法の規定による扶助を受ける者等への課税調整
- 災害による被災証明がある場合の課税調整
- その他、特別の事由がある場合の課税調整
まとめ
固定資産税の減免を受ける際には、自ら手続きをしなければその恩恵を享受することができません。
ですから、まずはこのような制度があるという事を知っておくことが大切です。
そして、専門家と相談しながら、適切に手続きして無駄なく納税したいですね。